押すな!

2001年7月21日
ひどい。ひどすぎる。

明石の花火大会帰りの惨事。

最初は将棋倒しで重軽傷者多数、というニュースだった。そのうち、死者が出たというニュースが流れて...。ああ。花火大会の将棋倒しで死者って、考えたくないけど、考えたくないけど...。

やっぱり。犠牲者は子供がほとんど。

2歳、3歳、6歳...読み上げるアナウンサーの声に耳を塞ぎたくなった。やめてよ、もう。ほんとに。ひどいよ。ひどいよ。

苦しかっただろうね。怖かっただろうね。

どうして? どうしてこんなひどいことになるの?


高校生の時、県外の友達のところへ遊びに行って、花火大会を見た帰り、似たような状況になったことを思い出した。

花火が終わって、いっせいに帰りだす人達。交通の便の悪いところで、近くの道路にシャトルバスが何台も次々と並び始めてた。

バスの昇降口へと人の流れが殺到する。秩序もなく、漫然と。奔流する流れが、一点に集中するとどうなるか。

最初は肩が触れあう程度だったのが、昇降口に近づくにつれ、ギュウギュウのおしくらまんじゅう状態。戻ることも、流れの外に脱出することも出来ず、ただただ後方から押されるのみ。

背の低い私は息をするために顔を空間へ逃れさせるのに苦労していた。ふと気づくと、腰ぐらいの位置に頭のある子供がもみくちゃになってる。親は前方に流されたのか? とにかく声も出ない状態で、なんとか立ってはいるけど(というか倒れる隙間もない)、顔も周囲の大人の体に密着して、息苦しそう。

「押さないで下さい! 子供がつぶれます!!」

大声で叫んでも、圧力は一向におさまらない。一体誰が押してるんだ。いくら集団でも、どこかで途切れてるはずだ。押してるバカヤロウはどいつだ!!

怒りと恐怖で混乱しながら、なんとか昇降口前で友人達とスクラムを組んで空間を作り、子供を先にバスの中へ上げた。続いて私達が上がると、運転手さんが強制的に戸を閉めた。...恐ろしかった。みんな殺気立っていて、怒号が飛び交っていた。

...あれの何倍もの規模で、この事故は起こったんだろう...

物理的な問題が大きいんだろうけど、でも、もう少し皆がお互いのことを思いやれたら。人を押しのけて進もうとする輩がいなければ。

無力な子供とお年よりばかりが犠牲になって。


綺麗な花火を見せてやろうと連れて行ったんだろうに。目の前でなす術もなく子供が命を失うさまを見なければならなかった親達の気持ちを思うと...言葉が見つかりません...。



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