優しい言葉を下さい

2001年6月22日
はあ。へこむ。

「手を離したら危ないと思いますよ。」

スーパーで走り回るチビ&2号。エスカレーターの前で2号をつかまえていてくれた親切なおばさん、ありがとうございました。あなたがいなかったらエスカレーターの方へ行って怪我をしてしまったかもしれない。
本当にありがたいです。でも、言わせてください。


誰も好き好んで手を離してるわけではないのです。うちの子供はあなたが手をつないで歩いている可愛らしいお嬢さんのように、おとなしく着いて来てはくれないのです。

カートに乗せれば、カゴの中の物をつつきまわし、それも3分もせずに飽きて脱走。追いかければますます喜んで逃げまくり、陳列棚の迷路を頭の血管切れそうになりながら探し回らなくちゃいかんのです。

叱り付けたっておとなしくなりゃしません。抱え上げれば漁船に引き上げられた魚よろしくバタバタからだを振り回し、手足頭をガンガンぶつけられて痛いです。大声で絶叫されて、まるで虐待してるかのよう。特にうちの子は顔面にもアトピーが出てるので、知らない人が見ると怪我をしてるように見えることでしょう。

ああ、違うんです。これは怪我じゃありません。虐待痕じゃないんです。無責任に放置してるわけじゃないんです。ああ、うるさくてすみません。ぶつかってすみません。品物ひっくり返してごめんなさい...

たった10分足らずの買い物の間に神経がピリピリとささくれだつ。

暴れるのもかまわず抱え上げて最低限の買い物をし、やっとこさレジに並んだところで再度脱走され、追いかけるわけにもいかず、お金を払ったところだったんです。

「すみません。ありがとうございました。」

お礼を言ってその場を立ち去りながら、肩の上で暴れてる2号のお尻を思わずたたいてしまいました。チビがうるさく話し掛けてくるのに、何も答えられないほど感情が高ぶって、自転車をこぎながら、涙があふれそうでした。


ばかみたいですね。

別にいつも通りの買い物だったのに。いつも通りイライラはしたけど。泣くほどのことじゃないのに。おばさんの何気ない言葉と責めるような視線が、どこかのスイッチを押してしまった。


チビが2歳くらいの頃も、いつもこんな調子だった。多動児なんじゃないかってひそかに心配してたくらい(笑)
いつだったか、道路に飛び出しそうになったところを通りがかりのおばさんに助けられた。私はベビーカーを押していてとっさにつかまえられなかったのだ。恐縮する私に、おばさんは笑いながら言ってくれた。

「なんもー。子育ては一人じゃ出来んさー。」


あの時も泣きそうになったけ。今回とは違う涙だったけど。
とても、あたたかい言葉だった。もうお顔も思い出せないけど、あの時のあなたの言葉、ずっと忘れません。慣れない土地で、なにもかもがいっぱいいっぱいだったあの頃の私の心を、スッと軽くしてくれた言葉でした。

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